月別: 2015年10月
スイスツェルマット1日目
オーストリア3日目
28日視察3日目、オーストリア最大規模の木質バイオマス発電所「ウィーンエネルギー」を訪問、原発がないオーストリアでは、電力の70%を自給、その内2/3を水力発電、天然ガス、風力、太陽光、木質バイオマスで補っています。残りの30%は、ドイツ、オランダ、ベルギーの近隣諸国から購入しています。木質バイオマスは全体の2%を発電し、2009年から13年間の契約で国から委託され補助金を得ています。この補助金は、1世帯年間100ユーロ(約13,000円)の税金が当てられています。木質バイオマス発電は、風力・太陽光発電等よりコストがかかり、現在では風力発電が増えています。政権によって、政策が変わるので、持続可能エネルギーについては、政治的判断が大いに関係しているようであります。
次に、オーストリアで5番目に大きい(総面積約93,000㎡、販売エリア約70,000㎡)、ウィーン郊外の「G3ショッピングリゾート ゲラスドルフ」を視察。ここは、大規模なCLTで施工し、屋根に鳥の巣、蝶々のためにやさしい照明を敷設するなど環境にも配慮されています。施工期間2009〜2012年、総工費2億ユーロ(約260億円)、年間500万人が訪れます。CLTで施工され、集成材4,000㎥、屋根には8,000㎥のトウヒが使用されています。CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法となります。CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼び、RC造などに比べ、安価で建築期間が短く、優れた断熱性と高い省エネルギー効果と高い強度、そしてB材の活用ができるという特徴であります。CLTは、オーストリアを中心に発展してきて、今後日本での促進が期待されます。
オーストリア2日目
27日視察2日目、最初にオーストリア連邦森林・自然災害・景観研究研修センター(BFW)を訪問し、理事長と意見交換を行いました。ここは、10年前農林省から民営化されたが、予算、人員ともに2/3は国から賄っていて、研究所を全国6ヶ所に分散、森林をモニタリングし、監視、保護をしながら持続可能な森林を目指しています。国内の森林の約80%が個人所有で、その所有者を把握しているようであります。林業従事者は、20年前から若者が減少傾向でありましたが、現在は毎年安定しています。森林観光・教育・保護についてノウハウを持っていて、今後は森林と健康について研究していくようであります。
次に、ルップレヒター農林環境水資源管理大臣との技術交流に係る覚書締結を行いました。内容は、①定期的に、それぞれの業務に関する情報を交換する、②教育、研修、研究に関する知識の交流を推進する、③職員及び関連する技術者等の相互訪問を推進するであります。竹越オーストリア大使も同席され、さらなる関係構築ができたことと思います。
次に、科学研究経済省、ギールリンガー審議官等との懇談、ドイツ企業の下請け的な役割の中小企業が多く、近年では、自動車や構造用集成材の輸出が伸びていて、貿易黒字37億ユーロで、失業率も他の欧州諸国よりも低く、国民1人当たりGDPは世界第10位で経済的に豊かであります。子育て支援策により出生率が向上し、今後は再生可能エネルギーについて、ハード・ソフト両面から支援していくことを、アフリカ等へ売り込んでいくことを念頭にしているようであります。その後、同省ヘンブランド・国際連携プロジェクト部長等との懇談、再生可能エネルギーの普及促進、持続可能なエネルギー供給体制整備について説明後意見交換。
最後に、7年間にわたり、林業大学校生計約140人に対し、オーストリア林業研修時に講師としてお世話になった3名に、知事から感謝状を贈呈。その後意見交換。
盛りたくさんの1日でありましたが、オーストリアの森林・林業施策について改めて学ぶべきことが多く、国民の意識が高いとともに、国策として海外に売り込む姿勢は、真の林業国であることを認識しました。
オーストリア1日目
オーストリア・スイス視察
本日26日~11月2日まで、阿部知事と共に、オーストリア・スイスに視察に行って参ります。
オーストリアでは、「農林業、自然エネルギー、自然環境分野での技術交流関係構築」、「文化芸術分野でのさらなる交流関係の構築」
スイスでは、「山岳高原観光分野での交流関係の構築」を目的とし訪問。
信濃毎日新聞記者が同行しますので、内容について記載されますので、ご覧下さい。